こんにちは、BPLaboです。
このコラムでは、『相手の本音を引き出す秘訣 Vo.2』について取り上げたいと思います。
前回のVo.1では、
自主的に本音を話したくなる気持ちを相手に起こさせるために、
6つの手法があることと、そのうちの2つの手法についてお伝えしました。
今回のVo.2では、残りの4つ、
- 相手の「背景/状況」に合わせた言葉を返す
- 相手の話すスピードに合わせる
- 相手の呼吸に合わせる
- 相手の価値観に合わせる
についてお話ししていきたいと思います。
1. 相手の「背景/状況」に合わせた言葉を返す
この手法は、相手の立場に身を置いて言葉を返す手法です。
人が相手の関心を引こうとするとき、相手の知らないことをひけらかしたり、こちらの力を相手に誇示しようとすることが多いもの。
でも、このような見当違いな努力をしてしまうと、ますます相手はあなたに心を開かなくなってしまいます。
相手の心を開くためには、こちらから積極的に働きかけるよりも、相手に純粋な関心を寄せて観察することが先にあるべきなのです。
例えば、
雨が降っていたところをわざわざお越し頂いたのであれば「足元の悪い中・・」という表現になるでしょうし、
商品にクレームをつけてきたのであれば「申し訳ございません。どれほど不快なお気持ちになられたか・・」という返答がいいでしょう。
一番のポイントは、相手の背景・状況を汲み取って『それを言葉にすること』です。
もちろん、相手の背景・状況をわざわざ言葉にしなくても、実質的には何ら問題はないのかもしれません。
ですが、たとえ些細な出来事であったとしても「相手の気持ちを汲み取ってあげる」だけで、『相手があなたに心を通わすまでの時間はグッと短くなる』ものなのです。
そして、『お互いの心を通わすまでの時間が短ければ短いほど、本音も早く引き出せる』ということになります。
2. 相手の話すスピードに合わせる
この手法は、相手の話すスピードや声のトーンに合わせる手法です。
例えば、早口で話す相手には、こちらも相手の早口のスピードに合わせていきます。
早口な相手に対して、落ち着いてゆっくりとした話し方で対応すると「あなたと話すと何だかイライラする」と感じさせてしまうことに。
また、道筋立ててゆっくり丁寧に話す相手に対して、早口で捲し立てるような話し方で対応すると「そんなに焦らなくても・・・」と相手を疲れさせてしまいます。
他にも、「あなたのところの商品に不具合があって散々だったよ!」と怒り心頭な様子でクレームをつけてきた相手に対して、
冷静に「なるほど、不具合があったわけですか・・・」と対応しようものなら、
「その対応は何だ!お前じゃ話にならん!責任者を呼べ!」と火に油を注ぐことになりかねません。
特に、このような相手の感情が高ぶっているときは、頭の中では冷静でいるべきでしょうが、
現実での対応となれば相手の気持ちを汲み取った演出が必要になってきます。
こちらの商品に不具合があった事実が伝えられたのなら、
相手にトーンを合わせて「大変申し訳ございません!」から言葉を返すことが賢明でしょう。
相手のトーンに合わせて言葉を返すということは、「私はあなたと同じ気持ちです」という意思表示にもなります。
相手がこちらの意思表示を誠意として受け取ってくれれば、
「まあ、きちんと理解してくれればいいんだ。同じ思いをする人を新たにつくらないように改善のアドバイスになればと思ってね」
と一気にクールダウンし、適切な指導をしてくれる『感謝すべきお客様になる』ケースは少なくありません。
相手の話すスピードや声のトーンに合わせることで、壊れかけた信頼関係さえも再構築することができるということです。
そして、再構築された信頼はより強いものになる傾向があり、「あなたは信用できる」「あなたになら本音で話せる」という気持ちを相手に起こさせることができるのです。
3. 相手の呼吸に合わせる
目の前の相手には気づかれることもなく、ごく自然に「私はあなたを受け入れています」というメッセージを伝える最適な手法、それが「呼吸合わせ」です。
気心の知れたもの同士であるとき、「息がピッタリ合った」とか「阿吽の呼吸」というような表現を用いますよね。
それと同じように、相手と呼吸を合わせることで相手との信頼関係を生み出す効果があります。
呼吸合わせのポイントは、相手の『肩から胸上のラインを見ること』です。
相手は衣服を着用しているわけですから、お腹を見ても衣服に隠れて確認することが難しい場合があります。
まして、こちらが男性で相手が女性であれば、お腹や胸を観察するのは変に誤解を招く怖れもあるでしょう。
実際、肩から胸上の動きは衣服を着用していても確認しやすく、特に肩の上下の動きはよく分かります。
その速度やリズムをつかんで合わせてみてください。
相手に気づかれずにそっと行えて、意外なほど大きな効果がある手法ですよ。
4. 相手の価値観や信念に合わせる
この手法のポイントは、相手が繰り返し使う言葉をキャッチすることです。
- 「やっぱり、人生で一番大事なのは家族だよ!」
- 「仕事においては、お金よりやりがいでしょ!」
このように、ブレのない考えや思いであれば、それが相手の価値観や信念だと言えます。
また、価値観や信念だと思われるものが複数ある場合、どのような背景・状況(仕事で?人生で?)で大事にしている価値観なのかを認識する必要があります。
どういうことかというと、、、
例えば、相手には大切な価値観が以下2つあるとします。
- 家族が大切
- 仕事のやりがいが大切
このような場合は、「家族 < 仕事のやりがい」なのか「家族 > 仕事のやりがい」なのかを確認していくということです。
もっと具体的に言えば、
「仕事にやりがいがあれば単身赴任も可能なのか(家族と離れて暮らしてもいいのか)」などを確認し、
相手の最も大事にしている価値観は何なのか?をつかんでいくのです。
相手の最も大事にしている価値観をつかむことができれば、かなり協力な信頼関係を築けるようになるでしょう。
しかし、ここまで深く相手の懐に入っていける人は少ないように思います。
それゆえに、徹底して実践すれば、現代では非常に高い価値ある手法だと言えるでしょう。
最大の効果を得たいのであれば、「相手の最も大事にしている価値観をつかむこと」と覚えておいてください。
6つの手法を実践するための心構え
実際の現場では、「相手のニーズを読み取る」それ以前に『相手との信頼関係を築くこと』が重要なカギを握っているということがこれまでの内容からお分かりいただけたかと思います。
相手が本音を語る状態になってはじめて、相手の正確なニーズをつかむことができるわけです。
もし、
- 「相手のニーズがうまく読み取れない」
- 「相手のニーズを読み違えてしまう」
のであれば、それは『相手との信頼構築が不十分である』ということになります。
まずは、相手が本音を語れる状態をつくることに専念しましょう。
相手が本音を語れる状態というのは、つまり、
『相手に十分な話をさせること』です。
相手から本音を引き出そうとして、気がついてみると『自分ばかりが話をしていた』ということがよくあります。
相手の本音は相手自身がしっかりと持っています。
まして、信頼関係が深く構築されていない初対面のシーンであれば、相手の本音を引き出そうとして容易に引き出せるものではありません。
ですから、こちらから引き出すのではなく、相手に話してもらうというスタンスであるべきでしょう。
たとえ相手の言ったことに異議をはさみたくなっても我慢するのです。
なぜなら、相手が言いたいことをまだ持っているかぎり、こちらが何を言っても無駄だからです。
相手をしっかり観察し、心おきなく話をさせてあげましょう。
それでは、次回をお楽しみに!