こんにちは、BPLaboです。
今回のコラムは、『相手の判断基準をつかむコミュニケーション・スキル』をテーマにお届け致します。
さて、突然ですが、
あなたは、自分で自分のことを「論理的」だと思いますか?
それとも、「感情的」だと思いますか?
一般的に、
論理的と聞くと「理屈っぽい」ようなイメージで、
感情的と聞くと「喜怒哀楽が激しい」といったイメージがあるかもしれません。
そして、論理的な人は非感情的な感じがするし、
感情的な人は建設的な話しができない印象があったりします。
でも、決してどちらがいい悪いという話ではありません。
どちらにも素晴らしい美点があります。
強いて言えば、論理的な人と感情的な人とでは『判断の基準が違う』だけなのです。
今回のコラムでは、その判断の基準をつかみ、
相手と良好なコミュニケーションをはかることにつなげていきたいと思います。
まずは、自分の傾向(論理的か感情的か)を知ること。
そうすれば、相手の傾向を読み取ることができます。
そして、相手に適切な言葉をかけてあげましょう。
それではさっそく。
自分で自分を論理的だと思う方も、感情的だと思う方も、
このコラムを読み進めながら、これまでの自分の行動を振り返って改めて自分の傾向を判断してみてください。
まず、いくつか質問をさせていただきます。
それぞれの質問はAかBかの二択になっておりますが、選ぶ基準は『どちらかというとA(B)』という感覚で構いません。
深く考えすぎることなく素直にお答えください。
【質問1】
あなたは、
A:一歩下がって、物事を客観的に考えて決断しますか?
B:一歩踏み込んで、感情移入しながら考えて決断しますか?
Aを選ぶ判断基準としては、以下を参考にしてみてください。
- 理にかなっているか?を考える
- 効果が期待できるか?を考える
- 真実かどうか?を考える
Bを選ぶ判断基準としては、以下を参考にしてみてください。
- 自分がどんな感じがするか?を確かめる
- 自分や他人にどんな影響があるか?を考える
- 自分の価値観に合っているのか?を考える
【質問2】
あなたは、
A:たとえ相手を傷つけると分かっていても、真実を大事にしますか?
B:相手を思えば、場合によっては、罪のないウソは仕方ないと思いますか?
Aを選ぶ判断基準としては、以下を参考にしてみてください。
- 公平さを大事にし、ダメなものはダメとはっきり言う
- 自分の感情を介入せずに誠実な対応をする
- 「自分の意志をしっかりと持ってますね」と言われると嬉しい
Bを選ぶ判断基準としては、以下を参考にしてみてください。
- 人を喜ばせるためならどんなことでも引き受けがちになる
- 相手をできるかぎり傷つけないように配慮しながら意見する
- 「人として素晴らしい」「やさしいですね」などと言われると嬉しい
【質問3】
あなたは、
A:筋の通った主張に心を動かされますか?
B:強く感情に訴えられると心を動かされますか?
Aを選ぶ判断基準としては、以下を参考にしてみてください。
- 確証や裏付がないと信用しない
- 議論では優位に立ちたい
- ルールはきちんと守り、他人にもそのルールを強制できる
- ルールに疑念を抱いても、公正さがあれば従う
Bを選ぶ判断基準としては、以下を参考にしてみてください。
- 泣いて訴えられたら信用してしまう
- 議論では調和を大事にする
- 調和のためならルールを破ることも仕方ない
- 人を不愉快にするルールなら守る必要はない
それでは、ここであなたのAとBの数を確認してみてください。
Aが3つなら、論理的。
Aが2つでBが1つなら、やや論理的。
Aが1つでBが2つなら、やや感情的。
Bが3つなら、感情的。
このような判断でおおむね問題はないでしょう。
ぜひ、自分の傾向と、その美点を再認識してくださいね。
さて、自分がどういう傾向なのかを知ったところで、ここからが大事なポイントです。
人間関係を良くするために重要なのは、
相手がどういう傾向かをつかみ、適切なコミュニケーションをとることです。
そして、適切なコミュニケーションとは『相手のニーズを叶えること』なのです。
ここからは、その具体的なコミュニケーションについてお話ししていきたいと思います。
論理的な人のニーズを叶えるコミュニケーション
論理的な人のニーズを整理すると、
- 正義や真実を大事にしたい
- 決断には確証や裏付けが欲しい
- 議論で優位に立ちたい
- 筋を通したい(正直でありたい)
などがあげられます。
つまり、『これらのニーズを奪ってしまう言動を避けること』が論理的な人のニーズを叶えることになるわけです。
分かりやすく、上司と部下のシーンで考えてみましょう。
仮に、あなたは上司で、あなたの部下は論理的だったとします。
そうであれば、感情的に声を荒げてみたり、喝を入れるような体育会系の指導は避けるべきでしょう。
また、「それは確かに正しいかもしれないが、社長に迷惑がかかる」などといった『正しさを個人的な感情でねじ伏せてしまう』指導は、論理的な部下に「あの上司はダメだ」と思わせてしまうことにもなりかねません。
上司が論理的な部下を伸ばす対応としては、
- 「ミスの原因を検証し、どうしたら改善できるのかを考えて欲しい」
- 「それって、誰にとっても真実なの?」
など、「検証や改善」「真実さの視点を広げる」といった提案や指示をすることが望ましいと言えます。
感情的な人のニーズを叶えるコミュニケーション
感情的な人のニーズを整理すると、
- 自分や相手の感情を大事にしたい
- 調和を大事にしたい、人を傷つけたくない
- 嫌われたくない、好かれたい
- 人の役に立ちたい、人を喜ばせたい
などがあげられます。
ここでも同じように上司と部下のシーンで考えてみます。
部下が感情的であれば、時には本気で相手のことを思い、まるで親のように叱ることにも効果があります。
なぜなら、論理的に善し悪しを指摘するだけでは、愛情を注がれていない気持ちにもなるからです。
部下の心に深く訴えかけることで信頼が深まるケースは、部下が感情的である場合によく見られます。
また、「利益率20%を目指そう!」など、数値目標だけを追わせるやり方は感情的な部下のパフォーマンスを引き出す指導とは言えません。
これもまた、目的が物質的すぎて、『人を喜ばせる気持ち』を感じさせないことが理由の一つですね。
上司が感情的な部下を伸ばす対応としては、
- 「それは、相手のためになるの?相手が喜ぶの?」
- 「100人の笑顔をつくろう!」
など、「人のため」につながる提案や指示をすることが望ましいと言えます。
最後に、感情的な部下に対する対応としておさえて欲しい大事なことがあります。
それは、『注意したり、叱ったりするときは、相手の行動と相手自身とを切り離してあげること』です。
なぜなら、例えば、、、「あなたはダメ」とだけ叱られると、感情的な部下は、
本当は「その行動(やり方)がダメ」という行動レベルでの意味であったとしても、まるで自分の人格が否定されたかのように受け止めてしまう場合が多いからです。
いかがでしたか?
双方の判断基準をまとめると、傾向として
論理的の人の判断基準は『客観的』であり、
感情的な人の判断基準は『主観的』だということ。
ぜひ、相手の強みを活かす働きかけを。
それでは、また次回をお楽しみに!